思いを伝える の巻 ~その参~

「重度障障害者用意思伝達装置」のつづきです。
技術の進歩が福祉の分野でも様々な道具を生み出してくれています。
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今回は、「あいとーく」と言うものです。

こちらは厳密には「重度障害者用意思伝達装置」ではなく、i-phoneのアプリです。
愛知工業大学メディア情報の鳥居准教授の研究室が開発したものです(HP

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i-phoneのカメラが、瞬きを認識して文字入力を行うという画期的なものです。
しかも、何とアプリは無料。固定台さえ用意すれば、すぐにでも試せるのが魅力です。

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瞬きの感知感度は微調整ができますが、実際職員で試してみた感じでは、生理的な瞬きと意図的なものとの判別がやや難しいのと、まだ誤反応があったりするかなと言う感じです。この辺りはひょっとしたら時間をかけて細かな調整を行っていく事で解消できるのかもしれません。

それでも、想像以上にしっかりしていて、こういったタブレット端末などを利用したコミュニケーション手段は、今後間違いなく有力な選択肢になってくるのではないかと感じました。頑張ってください、研究室の方たち!
そして、前回同様、そういった新しい技術にも公的補助が出るようにしてもらえると、過度な医療費を抑制できる気がします。

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いつもお世話になっているCTF松阪の方々と、桑名保健所の方々。
これも、立派な多職種協同です!

次回につづきます。 
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思いを伝える の巻 ~その弐~

「重度障害者用意思伝達装置」の続きです

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こちらはフリーソフト「Hearty Ladder」です。
PCさえ自分で用意すれば、フリーなのでソフトは容易にこちらからインストールできます。

 利点は、何より無料である事と、「伝の心」に比べて操作が簡易な事です。
 不利点は、入力装置がないため、より重症度の高い方の場合入力が行えない事です。
 上記不利点を改善するため、NPO法人のCTF松阪さんが、伝の心用の入力スイッチをPCの改良マウスで使用できるようにしてくださっています。すごい!

 ただ、もう一つの問題は、そもそも伝の心の入力スイッチの単独購入には公的補助が下りないと言う事です。
(「伝の心」の場合は、装置全体としてスイッチも込みで補助がおりるのに!)

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 実際に、入力スイッチのひとつと繋げたらこんな感じです。

 この対処として、「重度障害者用意思伝達装置」と言う「補装具の交付」ではなく、「日常生活用具の給付」を受ける方法をとることで、補助を受ける道もあるとのこと。
これに関しては自治体により差があったり不明な点が多いので、詳述は控えます。

 伝の心を購入すると言う事は、スイッチも含めて50万円近い額がかかります。利用者負担額は上限37200円(一般)なので、国の医療保険から45万円以上が支出される事となります。
 これは患者さん目線と言うより医療費抑制と言うマクロな視点ですが、こういったフリーソフトなどの代替手段をもっと補助していくべきなのでは、と個人的には思います。

次回につづきます。

 

思いを伝える の巻 ~その壱~

「重度障害者用意思伝達装置」と言うものがあります。

疾病により、自分の意思を言語的かつ身振りで表出する事が困難になった際に、機械を使って伝達を図るものです。
操作にはある程度の習熟が必要ですが、うまく事が運べばかなりQOLに影響します。

現在、ご入居の方でもお一人、そういった機器をご検討中の方がみえます。
その方の支援を通して様々な事を学んでいる最中なので、自分の中で纏める目的も兼ねて、参考までにご紹介させていただきたいと思います。

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こちらが、最もポピュラーな「伝の心」(日立)です。
PC本体ごと購入する形になり、文字入力による伝達が可能です。
最大の利点は、公的補助が厚い事と、入力機器が充実している事です。
難点は、導入までに手間と時間がかかる事(これに関してはまた別の機会に記載します)です。
補助がないとやたら高い(本体価格45万円 + 入力スイッチ3~6万円)事も問題です。

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入力装置のひとつで、こちらは白い座布団を押すことで空気圧によるセンサーを使います。
このセンサーは、ある程度手か指が動く事が前提です。

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センサーもいろいろ、制度もいろいろ、スタッフも勉強です。

また次回につづきます。
 

サンタが大将 の巻

Sです。

私は一年の中で秋が一番好きなのですが、長すぎる秋は興ざめだなと改めて感じていた今年です。
何事も「もうちょっとあるといいな」と言う程度で失われる余韻や寂寥が、風情を生むのだと思います。

秋が終わっていよいよ寒くなってまいりましたが、凛と心身を引き締めてくれる冬の朝は厳しくもあり気持ちよくもあります。
「ふゆはつとめて」と言った清少納言と、1000年を隔てて意識を共有できるのもまたいとおかし、です。

さて、誰に求められるでもなく、誰に見てもらうでもなく、毎月わかばくんのイラストを更新していく事を全く無駄に自らに課している私です。訪問が忙しくなってきたので、合間の時間を使ってこつこつ描来ましたが、今年はこれで最後。

マウスを置くと絵が変化します(スマホの場合は長押し)
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Merry Xmas!


お風邪を召されませぬよう、くれぐれもお身体には気を付けてください。 

こんな本読みました の巻 その弐

Sです。
第2回にして、私の中で今年第1位の本をご紹介します。

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『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』
小名木善行・著
彩雲出版 2015


 百人一首と聞いても、一度ぐらい聞いたし一首ぐらいは覚えているけど特に興味がないと思われる人が多いと思いますが、できれば読んでいただく事をお勧めいたします。

  私は以前から百人一首は好きだったのですが、正直、「どうしてこんな歌が?」とか思う歌もありました。
 ところが!この本を読み、もう目からウロコでした。

 本来和歌と言うのは本当の意味を内に秘めたもので、恋の歌だからといってそのまま鵜呑みにする読み方をしては本質がわからないのです。相手に察してもらうこと、相手を察する事、それが日本人が大切にしてきた相手を慮る心を育んできました。
 ところが、特に戦後はこういった感覚が薄れ、今や百人一首は「貴族の色恋の歌だ」と表面的な解釈しかしてない解説本ばかりが乱立しています。

 藤原定家が、何を目的に百首を選んだのか、配列の意図は。
 本の帯にも書いてある通り、百人一首は「1首が100集められたもの」ではなくて、「百首を通してひとつの抒情詩」なのです。
 
 忘れられそうになっている日本を再発見し、より日本を好きになるためにもぜひ読んでほしい一冊です。